人手不足の問題は、飲食業界にとっては死活問題ではありながら慢性的な課題となっています。
そんな状況の中、必要な人材を確保するためには何ができるのでしょうか?
現在の飲食業界の動向を考えながら、採用につなげるためのポイントと注意点をご紹介します。
1.飲食業界の動向
■コロナ禍で不況が続く飲食業界
一般社団法人 日本フードサービス協会が
2022年1月におこなった外食産業市場動向調査によると、
飲食業全体でみると、2022年1月の売上は前年同月比で112.2%となっていますが、
あくまでも緊急事態宣言で売上が大きく落ち込んだ月との比較であり、
そこから少し回復したというだけです。
2021年末には新型コロナの感染者数が一時的に減少したため
年始は回復の兆しが見られましたが、変異種の「オミクロン株」の出現による影響で、
再び店内飲食中心の店舗は売上の減少が顕著にみられました。
また、従業員の家族が新型コロナに感染することで
従業員が働けなくなってしまうケースが増えたことから、
人員の確保にも影響を及ぼしているようです。
■飲食業が人手不足である原因
上述したように、新型コロナの影響も人手不足の原因のひとつですが、
そもそも飲食業は従業員の離職率が高く入れ替わりが激しい業種。
では、飲食業の離職率はなぜ高いのでしょうか?
それは飲食業特有の営業形態にあります。
飲食店は営業時間が長く主に立ち仕事であるうえ、
接客もおこなうため体力に加えて気力も必要です。
想像以上に過酷な業務を負担に感じて辞めてしまう従業員は少なくありません。
そして、1日の中で売上の差が大きく出る飲食店は、
効率的なシフト運営をおこなうために
時給で雇用するアルバイト・パートの存在が必要不可欠です。
しかしアルバイト・パートの従業員は学業や家庭など、
仕事よりも優先するべきものがある場合がほとんどです。
労働環境や待遇などに対する不満があれば、
見切りをつけて離職する、という決断も正社員と比べると容易でしょう。
2.採用のポイント
■求める人材像を明確にする
どこの店舗も人手が足りず、求人情報も増加しているため
いかにして労働力を得るかという戦略を練る必要があります。
その戦略のひとつが、求人情報を作成するうえで、
自店舗が求める採用ターゲットの人材像を明確にするということです。
応募してほしい人材の具体的な人柄やスキル、所有資格などをあげていきましょう。
ただ、応募のハードルが高くなりすぎないように
「本当に必要な条件なのか」をよく考えて決めていくことが重要です。
■応募の間口を広げる
採用ターゲットが明確になったら、
ターゲットとなる人物が応募しやすくなるように間口を広げてあげましょう。
例えば学生がターゲットの場合
◆週1日~OK!土日どちらかのみの出勤も歓迎します
◆夏休み期間だけの短期募集!1日2時間~応相談
このように期間や勤務時間を短く設定すると
「自分でも働けるかも」と感じてもらいやすくなります。
3.採用の注意点
■採用側も“選考されている”という意識を持つ
どうしても面接する店舗側が人材を“選ぶ”という視点になりがちですが
応募者も、働く場所としてふさわしいか“選考している”ということを忘れてはいけません。
応募の問い合わせから始まり、面接時も店舗側の対応は見定められています。
問い合わせの段階で「冷たい対応をされた」と感じれば、
応募を考え直してしまうかもしれません。
普段利用されているお客様が応募することもありますし、
応募しようとした人がこれからお客様になる可能性もあります。
その点もしっかり頭に入れておき、
いつでも丁寧な対応をするように心がけましょう。
■受け入れ体制を整える
「飲食業が人手不足である原因」でも述べたように
離職率が高い傾向にある飲食業ですが、
定着率を上げる施策をおこなうことで人手不足解消につながります。
1人採用できたぞ!と安心するのはまだ早いです。
新規で採用された人にとって、初出勤の日はとても緊張するものです。
制服や名札などの必要なものの準備の徹底はもちろんのこと、
緊張を少しでも和らげられるような歓迎ムードで迎えることも大切です。
慣れない従業員でも安心して長く働けるような環境づくりに努め、
従業員の定着率を上げていきましょう。
【まとめ】採用するためには変化を!
売上の減少や人手不足で厳しい状況が続く飲食業界ですが、
今後も何が起こるかわからない時代です。
この時代を生き残っていくためには、
変化に柔軟に対応していくことが求められます。
採用活動もなんとなく今までと同じような考えでおこなっていては
他社との競争に勝つことはできません。
採用につなげるための施策を練って人材を確保していきましょう!